記録 自分用

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一橋式近現代史/「ディープな戦後史」

一橋大学の入試は出題範囲が偏っていることで(一部では)有名である。自分は世界史選択だったから日本史についてはあまり詳しくないのだが、どうやら出題範囲の偏りは日本史でも見られるらしく、大問3つ中2つが近現代史らしい。なんつーか世界史以上に偏っているなぁ。

そんな一橋の近現代史の問題を枕に戦中・戦後史を解説していこうという試みの本であった。似たような本(ていうか作者が同じ)で東大の入試から読み解く〜というのがあるが、そちらが案外売れたのでというところだろう。あちらではタイトルで東大を強調していたのにこちらでは省かれているのは、一橋大学知名度のなさが伺えるようで面白い。実は世界史関係の本かと思って読み始めたのだが、まぁ日本史とか世界史とか分けて食わず嫌いする必要もなかろうて。

意外だったのは日本史というより政経の内容に近いんじゃないかというところで、載っている問題はけっこうわかるものが多かった。まったくわからんという感じのは最後の戦時統制経済に関するものだけで、それ以外はあーなんか習ったようなというところであった。世界史とも近いしね。

政経の教科書・参考書だと名前が触れられるだけであまり詳しく述べられることのなかった文言がちゃんと解説されているのが良い。例えばドッジ・ラインとか超均衡予算のように、なんか名前は聞いたことあるなというものが詳しめに説明されていて情報の整理に役立った。そんなん自分で調べろという風に思わなくもないが、ある程度かたまった話の流れの中で出てくるから記憶に残るのであって、個別に調べていたら多分覚えられなかったんじゃないかとも思う。

他にも条約や宣言の原文(現代かな使いでない)を載せているところも良い。自分は日本国憲法の条文のような格式張った表現が好きなので、読んでいて大変面白かった。そして共同宣言とかにありがちな核心的なことには触れずやんわりと外枠を埋める文章も味わい深い。霞が関だけで作られたわけではないのだろうが、霞ヶ関文学の一種とも呼べるのかもしれない。そういえば多国間で合意をとるときは大抵英語で宣言がなされるわけだが、このような曖昧な文章を書ける英語ネイティブはありがたがられるというのをどこかで読んだような記憶がある。嘉治さんの本だったような気がするが定かではない。

個人的にはこれの倫理政経版を読んでみたい。あの大学の倫政は模範解答を見たことがないので気になるというのと、より広範な教養としての面白さがありそうだからである。いやさすがに需要が少ない気もするが。