記録 自分用

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producer surplusとeconomic rentに迷ったときに見る記事

なんやかんやでそこそこ真面目に経済学を勉強しているわけだが、段々と直感的に理解できないところもでてきた。いや正確に言えば結論部は簡単だが、そこにいたるまでの過程がすこし複雑というパターンか。特に英語だと文のとり方が間違っていたりするのでそこもきつい。

教科書にこういう記述があった。「In the long run, in a competitive market, the producer surplus that  a firm earns on the output that it sells consists of the economic rent that it enjoys from all its scarce inputs.」文法的に言っている事自体は(多分)わかるが、その主張に至る道筋が少し不透明だなぁと思ったので、ここに備忘録として残しておこうと思う。ピンポイントでここにたどり着く人ももしかしたらいるかもしれない。

一応結論を書いておくと、辞書的にいえばproducer surplusとは生産者余剰のことであり、economic rentは経済的地代と訳されるようだ。よって上の文は「長期的に視点において、(完璧な)競争市場では、ある会社が(特定の)生産量を販売することにより得られる生産者余剰は、投入できる生産要素の不足から生じる経済的地代により構成される」といういみになるはずだ。いろいろ考えてみるとわかるのは、a firmやthe outputのような冠詞が悪さ(別に悪さというわけではない)をしていることだと思う。

ちょっと用語の解説をしておこう。

producer surplusとは?

辞書的にいえば各単位におけるmarginal revenueとmarginal costの差額の合計のこと。ちなみに各marginalを積分することで以下の式を得られる。

producer surplus = total revenue - tatal variouble cost・・・①

生産量を1単位増やしたときのmarginal revenueとはつまりその製品のpriceであり、需要曲線と供給曲線そのものに影響を与える事象(災害とか新規企業の参入とか)が起きない限り価格(=marginal revenue)は予想できる。またmarginal costも生産量を1単位増やしたときの変動費の増加分であるから予想できる。よって生産量を1単位増やすことによるproducer surplusの増減は

⊿producer surplus = marginal revenue - marginal cost = price - ⊿variouble cost

として計算できる。この⊿producer surplusが正の値である限り企業は生産量を増大していくはずだし、これがマイナスになるようなら生産量を縮小するはずである。

最終的にはこの製品を生産することで利益が出せることを知った他の企業が新規参入し、供給量↑&価格↓でproducer surplus = 0になる生産量はどんどん下がっていくのが競争市場であるが、ここでは一旦おいておこう。

なお式①とprofit = total revenue - total variouble cost - total fixed costを連結することでproducer surplus = profit + total fixed cost・・・②が得られる。

economic rentとは?

辞書的にいえば、なにか生産に有利な要素があったとして企業がそれを手に入れるために実際に支払った額をm、他の企業ががそれを手に入れるために払っていいと思っている額をnとしたときのn-mのこと。

producer surplus = economic rent ?

最初の文を解読すると以上の式が成り立つが、これはどういうことなのだろうか。企業Aと企業Bという2つの企業による競争を考えてみよう。なお完全競争市場の前提として、以下の世界では両方の企業は同じ供給曲線を持っているとする。

この世界には土地Xと土地Yの2つがあると考えてみよう。土地Xは川沿いに位置しているため、内陸の土地Yに比べて輸送にかかるコストがある生産量のおいて100少ない(なぜ生産量が関係あるかというと、例えば生産量がゼロなら輸送コストでの有利不利もないように、ここの数値は生産量によって変化するからである)。

簡単に考えるために両方の土地を手に入れるためにかかるコストや土地を維持するために必要なコストがゼロだったとする(つまり早い者勝ち)。

企業Aが土地Xを手に入れたなら、当然企業Bは土地Xを手に入れることはできない。これは、土地Xが「不足」しているからである。

企業Aは土地Xから毎年100だけの会計利益を得ている。ということは企業Bは土地Xを借りるためならある程度追加でお金を払ってもいいと思うはずだ。なぜなら例えばレンタル料50を払うことで土地Xのを貸してもらえるなら、生産量が一定なら100 - 50 = 50の追加の会計的利益が得られるからである。

もし企業Bが毎年90の土地利用料を払うとしたら、企業Aが毎年0(つまり無料)で使用している土地に対して90払ってもいいと思っていることになるから、定義でいうところのeconomic rentは90である。

逆の立場も考えてみよう。企業Aにしてみれば、自分たちで土地Xを使うことなく企業Bに貸し出せば90の利益を得ることができるから、土地Xを使う機会費用が90になり、(土地Xを使用する会計的利益100) - (土地Xを使用する機会費用90) = 10が経済的利益になる。

究極的には企業Bが支払ってもいいと思う額は最終的に土地Xから得られる会計的利益100に等しくなるはずだから(現実的にはリスクプレミアムの関係で100にはならないけど)、economic rentと機会費用はともに100になり、企業Aの経済的利益は0へと収束する。

ところで土地Xによるアドバンテージがなかった場合、企業Aと企業Bの完全な競争により彼らが作る製品の価格はどんどん下がるとともに利益はゼロになるので、式②からproducer surplusは固定費と等しくなるはずである。つまり土地Xのからのアドバンテージなしのとき、企業Aの会計的利潤は0になるわけだ。

しかし実際は土地Xによるアドバンテージがあるので企業Bとの競争において有利になり、producer surplusは100増える。total fixed costは常に一定だから、企業Aの会計的利潤は100になる(経済的利潤はここでも0)。

ここでこの利潤100(またはeconomic rent)の源泉をたどっていくと、そもそも土地Xが1つしかなかったことが原因である。もし土地Xが2つ(例えばそこに企業Bも入れるだけの広さがあるとか)ならば、企業Aのアドバンテージは消え、競争の末に企業Aが得られる会計的利益は0になったはずである。

以上から、「ある生産量において得られる企業Aのproducer surplus」=「土地Xの不足から生じるeconomic rent」といえる。

今回は不足しているもの(差別化要因)が土地だけだったのでこの等式になったが、他にも差別化要因といえるものは例えば特許とか優秀な従業員とかのような片方が独占(他方に使わせないこと)ができるものすべてが挙げられる。

よってそれらすべてを加味すると、「ある生産量のおけるproducer surplus」=「inputできる要因の不足により得られるeconomic rentの合計」という等式が成り立ち、最初の文の言っていることも解読できた。

ポイントは今回の土地Xでいうアドバンテージ100は生産量によって変化するというところであり、だからこそ元の文にはthe outputというtheがついている必要があるようだ。